家族での外国語学習、何から始める?わが家の「はじめの一歩」と初期習慣
家族で外国語学習を始めたいと漠然と考えている方は多いのではないでしょうか。特に、小さなお子さんがいるご家庭では、「いつから、何を、どのように始めたら良いのか」という疑問が尽きないことと思います。私もかつては、仕事に追われる毎日の中で、家族で外国語学習を始めること自体、とてもハードルが高いことのように感じていました。
「時間がない」「何から手をつければ良いか分からない」「途中で挫折しないだろうか」といった不安は尽きません。しかし、わが家では、いくつかの工夫と試行錯誤を通じて、少しずつですが家族での外国語学習の習慣を築くことができました。
今回は、幼い子どもを持つわが家が、どのようにして外国語学習の「はじめの一歩」を踏み出し、日々の習慣にしていったのか、その具体的な道のりをお話ししたいと思います。これから家族学習を始めたいと考えている皆さまにとって、少しでもヒントになれば幸いです。
学習を始めたきっかけと、わが家の状況
私が外国語学習に興味を持ったのは、仕事で海外とのやり取りが増え始めたことが大きなきっかけでした。同時に、幼い子ども(当時3歳)に将来、英語に苦手意識を持たずに育ってほしいという思いも強くなりました。私自身、学生時代に英語学習で挫折経験があり、得意とは言えません。妻も同様に、特別な学習経験はありません。まさに「学習経験ほぼなし、何から始めて良いか分からない」という状態でした。
共働きの家庭であり、日中は夫婦ともに仕事、帰宅後は子どもの世話や家事に追われます。そのため、まとまった学習時間を確保することは非常に困難でした。この状況で、「どうすれば無理なく、楽しく続けられるか」が最大の課題となりました。
はじめの一歩:完璧を求めず、「できること」からスタート
まず私たちが最初に行ったのは、「完璧を目指さない」という意識改革でした。いきなり「ペラペラになるぞ!」という高い目標を掲げるのではなく、「まずは外国語に触れる時間を作る」という小さな目標を設定したのです。
子どもとの触れ合いから始める
子どもには、まず外国語を「楽しいもの」と感じてほしいと考えました。そこで、以下のような取り組みから始めました。
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洋楽の活用: 英語の童謡やアニメソングをBGMとして流すことから始めました。車での移動中や自宅での遊び時間など、意識的に英語の歌を取り入れました。子どもはリズム感があるので、自然と口ずさむこともあり、楽しそうにしている様子が見られました。
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絵本の読み聞かせ: 馴染みのある物語の英語版絵本を購入し、日本語版と並行して読み聞かせを始めました。最初は意味が分からなくても、絵を見ながら単語の音に触れることを目的としました。私が発音に自信がなくても、電子辞書や音声ペンを使って、正しい音に触れる工夫をしました。
親自身の学習:隙間時間の活用
私自身の学習は、子どもの寝かしつけ後や通勤時間といった「隙間時間」を徹底的に活用することから始めました。
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英語学習アプリの活用: 手軽に始められる無料の英語学習アプリをいくつか試しました。短い時間で区切って学習できるため、集中力が途切れにくく、ゲーム感覚で続けられる点が魅力でした。特に通勤中の電車内や、昼休憩のわずかな時間を利用して、毎日数分でも触れることを心がけました。
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オンライン英会話の短時間レッスン: 月に数回程度、25分間のオンライン英会話レッスンを受講し始めました。最初は「何を話せば良いのか」と緊張しましたが、先生が優しくリードしてくださるため、次第に慣れていきました。自宅で気軽に受けられる点が、時間確保の難しい私にとって大きな助けとなりました。
直面した困難と、わが家なりの乗り越え方
当然ながら、順風満帆とばかりはいきませんでした。
1. 子どもが飽きてしまう
洋楽や絵本も、最初は興味を示しても、すぐに他の遊びに夢中になってしまうことがありました。無理強いすると逆効果だと感じたため、飽きていると感じたらすぐに中断し、また別の機会に試すようにしました。
- 対策: 強制せず、子どもの興味の赴くままに任せる。英語の歌に合わせて一緒に踊ったり、絵本の中のキャラクターの真似をしたりと、遊びの要素を取り入れることで、自然と英語に触れる機会を増やしました。
2. 親の学習時間の確保とモチベーション維持
仕事で疲れている日は、英語学習アプリを開くのも億劫になることが多々ありました。「今日はいいか…」という誘惑に打ち勝つのが大変でした。
- 対策:
- 目標の細分化: 「毎日30分」といった大きな目標ではなく、「アプリで5分だけ」「単語帳を1ページだけ」など、極めて小さな目標を設定しました。これならば「今日はできた!」という達成感を味わいやすく、継続に繋がりました。
- 「何もしないよりはマシ」という考え方: 完璧に学習できなくても、たとえ1分でも触れることが重要だと考えるようになりました。
- 夫婦での情報共有: 妻とは、「今日はこの単語を覚えたよ」「子どもとこんな英語の遊びをしたよ」といった学習内容を共有しました。お互いの頑張りを知ることで、モチベーションの維持に役立ちました。
3. 教材選びの迷い
インターネット上には無数の学習法や教材があり、どれが自分たちに合っているのか分からず、情報過多で迷うこともありました。
- 対策:
- まずは評判の良いものから試す: 他の家庭の体験談やレビューを参考に、まずは広く知られている教材やアプリから試してみました。
- 合わなければ変える勇気を持つ: いくつか試してみて、自分たちや子どもに合わないと感じたら、躊躇なく別のものに切り替えました。無駄になったと感じるかもしれませんが、その過程で「わが家には何が合うか」を知る良い機会だと捉えました。
小さな成功体験と、得られた変化
学習を始めて半年ほど経った頃、少しずつですが変化が見られるようになりました。
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子どもの変化: 英語の歌を聴くと、自然と体が動き出したり、簡単な単語("Apple", "Banana", "Thank you"など)を口にしたりするようになりました。英語のアニメを見る際も、以前より集中して見ているように感じられます。まだ意味を完全に理解しているわけではないと思いますが、英語に対する抵抗感がなく、むしろ楽しいものとして認識していることは、私たちにとって大きな喜びでした。
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親の変化: 私自身も、基本的な単語や簡単な日常会話フレーズを徐々に覚えることができました。オンライン英会話で簡単な質問に答えられるようになったり、海外からのメールの内容が以前よりもスムーズに理解できるようになったりと、小さな成功体験が自信に繋がっています。何よりも、親子で一緒に学ぶ時間が増え、共通の話題ができたことで、家族のコミュニケーションが豊かになったと感じています。
これから家族学習を始める方へのアドバイス
家族での外国語学習は、決して簡単な道のりではありません。しかし、無理なく、そして何よりも楽しく続けることで、着実にその恩恵を感じられるものだと、わが家の体験を通じて実感しています。
もしあなたが「何から始めて良いか分からない」と感じているのなら、まずは次の3つのステップを試してみてはいかがでしょうか。
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小さな一歩から始める: 「毎日5分だけ」でも構いません。洋楽をBGMにする、絵本を1冊読む、アプリでゲームをする、といった、すぐに始められることを見つけてください。完璧を目指さず、「ゼロから一」へ踏み出すことが最も大切です。
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楽しむことを最優先に: 学習を「義務」にするのではなく、「遊び」や「楽しい時間」として捉える工夫をしてください。子どもが飽きたら別の遊びに切り替える、親自身も興味のあるトピックから学習するなど、プレッシャーを感じずに取り組むことが長続きの秘訣です。
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家族で共有し、応援し合う: 夫婦で学習の進捗や、子どもとの楽しい出来事を共有することで、モチベーションを維持しやすくなります。一人で抱え込まず、家族みんなで「学びの旅」を楽しむ姿勢が、継続の大きな力となるでしょう。
わが家はまだまだ道半ばですが、この「はじめの一歩」があったからこそ、今も家族で外国語に触れる時間を持てています。皆さまの家庭でも、無理なく、そして笑顔で外国語学習を始められることを心から応援しています。